最近のことなのでしょうか?
レンタルショップに、かなりのスペースをとったコミック本コーナーが目につきます。
普段、コミックより活字の方がどうしても多い私は当然素通りです。
・・・だったのですが・・・。
アニメーション化されたコミックは別です。
私は普段、付随音楽(サウンド・トラック)から映画やドラマを選択して観ることが多いので、アニメーションやコミックに関しても同様に選んでいるようです。
(先入観は良くないことですが、選択肢がどうも音楽に偏っているようです。)
《良いサウンドのアニメーション》 →《サントラ・映像ディスク・コミック本》とういう時系列で選択して観ています。
さて、劇伴音楽とともにアニメーションの音楽にも優れた作品が多くあります。
そこで、近年日本のアニメーション音楽から《新世紀エヴァンゲリオン》と《交響詩篇エウレカセブン》の二つを取り上げてみました。
今回は《新世紀エヴァンゲリオン》です。
新世紀エヴァンゲリオン
新世紀エヴァンゲリオンは、1995年 - 1996年にテレビ東京系列で放送されたテレビアニメで、コミック(貞本 義行 )、アニメ脚本・監督(庵野 秀明)により映画化され多くのメディアに取り上げられました。スタジオジブリの宮﨑 駿監督よりもふた回り下の世代の二人が作り上げていった世界は「エヴァ」の愛称で多くの人に認知されています。
最新のニュースとしては、今月26日(水)、コミック版完結編(第14巻)が刊行されるそうです。
エヴァの内容はその魅力とは別に、強烈に主観性の強い世界観や排他的な面があり、私は素直に共感できない面もあります。ちょうど村上春樹氏の小説を読むときと同じで、読者や視聴者に安易に迎合しない自己表現をしているなと思います。
このエヴァで音楽を担当したのが、鷺巣詩郎(さぎすしろう)氏です。
鷺巣 詩郎とエヴァ
鷺巣詩郎氏は、J-Pop、テレビ、映画、その他多くのメディアに幅広い創作の幅を持つ作曲家です。
私が最初に聴いたエヴァのサントラは、「Refrain of EVANGELION Soundtrack」でした。
冒頭、バッハの無伴奏チェロソナタから一転、次々と繰り出される極めて多彩な楽曲群には圧倒されっぱなし。
現在も進化を続けるエヴァ・サウンドですが、このCDにはすでに完成系でありながら、Pureな原石のような輝きがあると思います。
「Refrain of EVANGELION Soundtrack」から数曲をピックアップし、鷺巣氏の音楽の特徴に迫ってみました。
3. ANGEL ATTACK
● 斬新
● クールでスタイリッシュなサウンド創り
● 多ジャンルの融合から生まれるパワー
執拗なまでの同形反復(シーケンス・パターン)が、野蛮で残虐な印象を醸し出しています。
前衛的な響きの中に、弦楽器やエレクトリック・ギターがよく調和しています。
5. THANATOS
● 多彩なメロディー・メーカー
● キャッチーなサウンド
エヴァ・サントラの中で、最も美しいバラードだと思います。トラック18.のボーカルver.では、ご機嫌な16ビートとjazzフィーリングの交錯する洒脱なアレンジが聴けます。
21. 閉塞の拡大
● 都会的で洗練されたサウンド
● シンフォニック
● スペイシー
ストリングス・アレンジには定評がある鷺巣氏。オーケストレーションや音楽的な展開も個性的で、他の作品にも見られる音響空間の拡大、縮小、上昇、下降の聞かせ方が巧みです。
音作りの幅を広げて
テレビシリーズ終了後、「劇場版」と呼ばれる映画化が3作、「新劇場版」が3作封切られています。その全てにスコアーを書かれていることに、まず驚きます。
近年は、ロンドン・パリ・東京を拠点に国際的な活動をされている鷺巣さん。
国内はもとより海外のアーティストとの交流から、そのサウンドの幅が益々広がっていると感じます。
一昨年公開された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』 EVANGELION:3.0 YOU CAN (NOT)REDO.)
では、オーケストラと電気楽器を融合した「バロック・ロック(? 私の造語です。)」やロックのエッセンスの強い「スペース・オペラ」的、壮大でスペクタクルな音楽を聴くことができます。
The Anthem
(余談ですが、吹奏楽界でも活躍されている作曲家、天野正道氏がオーケストラ編曲及び吹奏楽版編曲で参加されていることも有名です。)
エヴァのサントラは、既存の動画主体でややおまけ的な存在であったアニメ音楽(中には例外もありましたが)の概念を大きく変えてしまいました。
新世紀エヴァンゲリオンは、「アニメに付随するのではなく一級の映画を見せるかのごとく書かれた音楽、確かなポテンシャルとクオリティを持ったジャンルとしてのアニメ音楽を確立した」作品だったと私は思っています。
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