江戸幕府の崩壊により、明治維新から東の京「東京」が日本の中心となりました。
しかし未だに京都では、「天皇さん、えらい永いことお帰りにならへんな〜。」
そうおっしゃるご老人がいらっしゃるとか。
未だに日本の京は京都にあり!
京都に行くと故郷に帰ったような感覚に襲われる私もそう思います。日本人としてのDNAが、私の中にも確実に流れているのでしょう。
さて、「主題と展開」について
今回も「嵯峨野〜ソプラノと吹奏楽のために」を題材にビュアーしていきたいと思います。
第1部 嵯峨野へ
冒頭に奏でられた「時の主題」は、物語の始まり、京都千年の時の門を押し開くかのごとく全合奏で鳴り渡ります。
ここでは、「時の主題」一拍目の付点二分音符と四拍目の三連音符が倒置され、繰り返されながら音高とダイナミクスが下降していきます。
続くオーボエのカデンツァは、同じく「時の主題」のリズム形と音程関係を使用しています。
カデンツァ前半は、日本の伝統芸術である「能」の《泣き》を
後半では、「歌舞伎」の《傾く(かぶく)》ニュアンスを描きました。
続いてもオーボエが「嵯峨野の主題」を歌います。
前回お話ししました様に、この主題は嵯峨野の風情を描いています。
そして同時に、青年が嵯峨野の地に入ったことを語っています。
「嵯峨野の主題」(16小節)は
オーボエソロ → 木管合奏から全合奏 → サクソフォーンとミュートした金管群によるJazz feeling
と3回繰り返されます。
これは、主題展開の別の方法である「主題変奏」で書かれた部分です。
やがてJazz feelingが静まると、第1部のエピローグとしてフルートが「時の主題」を奏でます。
最後の小節の5つの8分音符、時の門を開いた京都の化身が、青年に「おこしやす」と語りかけているようです。
改めて第1部「嵯峨野へ」のイメージ音源です。
原曲のオーケストレーションとは異なっていますのでご了承ください。
なおYouTubeに、吹奏楽全曲版をアップしておりますのでご参照ください。
第2部 風の道
嵯峨野を訪れたことがある方なら、必ず歩かれるであろう竹林の道
たまに人力車が走ったり、竹越しに降り注ぐ穏やかな日差しが心地よかったりと
日本的な風情があって私も大好きな道です。
さて、青年は竹林の道にやってきました。
うつぶせ気味で竹林の道を歩く。
一陣の風が吹き抜ける。
風の音にざわめく竹林
彼は、風が彼の身体を吹き抜けていくかのような錯覚におちいる。
苔むした神社に、古の時を想う。
和太鼓のリズムにのって全合奏が盛り上がってくると「風の道の主題」が登場します。
「風の道の主題」が祭り囃子のように最高潮に達すると、第3部への前半経過部へと突入します。
トランペット、トロンボーンの奏でる「和太鼓」の音形に呼応するように、中音域楽器群が「嵯峨野の主題」を朗々と響かせます。
全合奏の和音で静けさが戻ると、後半経過部です。
低音楽器群やトランペット独奏、そして最後にオーボエが「嵯峨野主題」を展開させています。
第2部「風の道」のイメージ音源です。
原曲はMP3TUBEページからお聴き頂けます。
「主題と展開」
第3部と第4部については、次回のブログでビュアーします。
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