京都の魅力は数多くあります。
京都御所、各寺院、神社、庭園などの観光名所や年中行事、食、民芸品、お土産などの物産の魅力、楽しみは人によって千差万別でしょうが、汲めども尽きぬ魅力があるのが京都が他の都市と異なる特色ではないでしょうか。
また、人にとって旅は欠くことのできない楽しみです。それが京都への旅なら・・・、やはり格別だと思います。
第4部 旅立ち
さて、傷心の青年がふらりと訪れた京都は、やはり彼を蘇生させ新たな活力を生み出してくれました。
再び竹林の道から嵯峨野に入り込む。
青年の憂いは、今や心の葛藤へと変わっている。
おだやかな日差しは雲に隠され、茶屋ののれんが風にそよぐ。
憎しみや迷いを吹き飛ばすかのように、風が一段と強まる。
やがて、迷路のような道から急に広がった空間に出る。
雲は晴れ、風も弱まり、まぶしい日差しの中で草木がおだやかに微笑んでいる。
今、生きていることはなんと幸福なことか。
誰かがよりよく生きよと青年にささやく。
青年のまなざしは、過ぎ去った時へではなく、すでに「未来」を見つめている。
前奏に続いて、木管楽器群による「旅立ちの主題」が登場します。
第1〜第3部が、4分の4拍子及び2分の2拍子の「一拍2分割」系の拍子であったのに対し、第4部では三連音符を基準においた「一拍3分割」系の4分の4拍子が設定されています。
これは、青年の心の葛藤や明るさへと揺れ動いていく様を現わしたかったからでした。
嵯峨野主題の様々な展開
やがて、「旅立ちの主題」の変形と呼応するように「嵯峨野主題」が低音部に現れます。
続いて、嵯峨野主題がフゲッタ(Fughetta:小規模なフーガ)で低音部から開始されます。
次第に音楽が激昂してくると、全合奏が「嵯峨野主題」をffで歌い上げます。
楽曲中最もドラマティックな部分です。
そして「嵯峨野主題」が長調で中音域楽器によって奏されると、音楽は次第に明るく輝きだしていきます。
コーダでは、「嵯峨野主題」「川のほとりの主題」「時の主題」が次々と登場します。
最後に
第4部のイメージ音源です。
なお原曲の吹奏楽版は、MP3TUBEページからお聴き頂けます。
全体で約17分を要する作品ですのでコンクール・ユースよりコンサートに適した作品ですが、コンクールでお使いになられる場合には、ご相談頂ければリコメンドさせて頂きます。
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