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YouTube Renewal No.38 東風(こち)

春を告げる風「東風」

菅原道真(すがわら みちざね)の和歌

東風吹かば にほいおこせよ 梅の花

あるじなしとて 春な忘れそ

の句で日本人には馴染みの深い『東風(こち)

 

元々は、中国において春になると東から吹いてくる風のことで、春の訪れを告げる風と言われています。

 

 


移ろう季節に寄せて

日本の四季の移り変わりは

日本人の生活はもとより

その思考感性にも大きく影響しています。

 

古の時代から伝わる「諸行無常」の考え方は

四季の移ろいから培われてきたものに違いありません。

 

人間も大自然の一部として

精神や肉体、そして生活も移り変わっていく。

常に同体はなく全てが移ろっていく。

 

移ろう」とは、「移る」に継続の助動詞「ふ」の付いた

うつらふ」の転化系動詞 だそうです。

 

意味としては

①  時の経過とともに物の状態が変わってゆくこと。衰えてゆくこと。

②  場所が変わること、移動すること。

③     色が変わってゆくこと、あせること。

④     花が散ること。

⑤     色や香りがしみつくこと、そまること。

⑥     心変わりをすること。 

などとされています。

人間の有様そのものです。

 

しかし晩冬から初春にかけては

単に衰えていく移ろいではなく、

春や夏など生命の躍動感溢れる季節に向かう

プラスの移ろい感、変化があります。

 

桜が美しい花を咲かせるためには

寒気の中を耐え、蕾をじっと閉ざし続けることが大事なのだそうです。

 

そんな思いで作曲を進めました。

東風(こち) The Spring Wind

「東風」

梅の花が香り高く咲き出す

日本の晩冬から初春の頃を題材とし

 

未だ冬枯れの野を吹く冷たい風

穏やかな日差しの中で囀りだす小鳥たち

ある日突然吹き荒れる春一番の風

などが描かれています。

 

(作曲中のある日関東に春一番の吹いた日には

実際に外に出て強烈な風に吹かれてきました。)

 

一陣の風が吹き抜ける

そんな作品を目指しました。